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大阪地方裁判所 昭和48年(行ウ)81号 判決

泉佐野市大西一丁目九番二〇号

原告

馬場谷幹次

被告

泉佐野税務署長

大阪国税局長

泉佐野市長

主文

原告の各訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

本件訴状の記載によると、原告、「被告税務署長が昭和四二年三月九日にした、原告に対する相続税更正決定の異議を棄却する旨の決定、および被告局長が同四三年四月四日にした、右決定についての審査請求を棄却する旨の裁決の各取消」の判決を求め、その請求原因として主張するところは、要するに右各処分に手続上、実体上の違法があるというにある。

よつて先づ、被告税務署長および国税局長に対する請求の適否について判断する。

およそ行政処分の取消を求める訴は、処分又は裁決があつたことを知つた日から三ヵ月以内に提起しなければならない(行訴法一四条一項)ところ、訴状の記載によれば、原告は、本件決定および裁決がなされたことを、右各処分の日の頃知つていたことが明らかである。

そうすると、その後五年以上を経過した同四八年一一月二日に提起されたことが記録上明らかな本件税務署長および国税局長に対する訴は、いずれも不適法にして、その欠缺が補正できないものであるから、民訴法二〇二条によりこれを却下すべきである。

次に、被告市長に対する訴については、本件訴状にその請求の趣旨を記載していないが、原告に対する相続税課税につき、被告市長がなんらの処分をしていないことは明白であるから、右訴も行訴法一一条一項に違背する不適法なものである。よつて請求の趣旨の補正を命ずる手続を省略し、民訴法二〇二条によりこれを却下する。

以上の理由により民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 下出義明)

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